北朝鮮が昨日3日、昨年9月に続く6回目の核実験を強行しました。北朝鮮による核実験は今年だけでも13回行った弾道ミサイル発射とともに世界の平和と安定にとっての重大な脅威であり、国連安保理決議や日朝平壌宣言にも違反する暴挙です。日本共産党は志位和夫委員長名で北朝鮮に対して強い憤りをもってこの暴挙に抗議する声明を3日、発表しました。
声明では「いまの最大の危機は米朝両国の軍事的緊張がエスカレートするもとで、当事者たちの意図にも反して、偶発的な事態や誤算などによって軍事衝突が引き起こされる可能性が生まれ、強まっていること」と指摘しました。万が一にも米国と北朝鮮との軍事衝突が発生すればそのおびただしい被害を被るのは日本と韓国です。北朝鮮問題の解決は平和的外交的解決しかありません。声明では「米朝両国にたいして強く自制を求めるとともに、現在の危機を打開するために直接対話に踏み切ること」を呼びかけました。
軍事衝突を真剣に懸念し、米朝対話を求める声は米国内でも広がっています。米国では6月、ペリー元国防長官、シュルツ元国務長官、ガルーチ元国務省北朝鮮問題担当特使らが連名でトランプ大統領に宛てた書簡で「現在の高い緊張状態から生じる危険を減らし、北朝鮮が現在進めている核兵器開発およびその使用の可能性を防ぐための唯一、現実的な選択肢だ」と指摘し直接対話を要求しています。また協議は「北朝鮮に対する報酬や譲歩ではなく、北朝鮮の核武装を容認するシグナルでもない」として「制裁だけで問題を解決することはできない」と強調しています。米国のマティス国防長官も30日、「外交的な解決策が尽きたわけではない」と発言しています。
一方で、米国も対話による問題解決を求めるなかで、対話に背を向け、軍事・経済の圧力一辺倒でミサイル迎撃態勢の強化など軍事的対応ばかりに熱心な日本政府の姿勢は本当に異常です。対話のための北朝鮮へのパイプがないことや安倍外交の無策を露呈させないために日本政府は軍事的対応に終始し脅威を煽り立て、国民の目をそらしているといっても過言ではありません。米外交専門誌『フォーリン・ポリシー』(電子版)は日本政府の北朝鮮問題への対応について「どれも功を奏していない。今回も日本にたいした選択肢はなく、安倍タカ派的な勇ましい発言もますます空虚にみえる」「日本政府は、北朝鮮の兵器開発政策を大きく変更させるという点では非力なのであり、これは誰でも知っていることだ。…安倍は、自身の政治本能は断固とした行動を求めているものの、結局今回も、以前のミサイル実験のときと同様の行動をするだろう。厳しい言葉と無行動だ」と厳しい論断を下しています。その上で「安倍は忌み嫌うだろうが一つだけ残された選択肢は、北朝鮮との直接交渉だ」「対話は最重要だ。しかし、安倍のチームはドアを閉め続けることに固執しているようだ」「外交的選択肢を追求するということができないという理由ではない」との識者の見解を紹介しています。
日本共産党は米国大使館やニューヨークにある北朝鮮国連代表部に対して書簡を送り、北朝鮮問題の平和的外交的解決のために力を尽くしてきました。日本政府は北朝鮮問題を解決するためにもいたずらに脅威を煽り立て対話を頑なに否定する姿勢を改め、米朝両国に対して直接対話を求めるべきです。「政治とは戦争しないこと」(河野洋平元衆院議長)であり、それが憲法9条を持つ政府の果たすべき役割です。
※日本共産党の声明は下記のリンクから全文読むことができます。ぜひご一読ください。
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2017/09/post-760.html